第1章: 新たな一歩~看護師からITエンジニアへ~

悠子は看護学校を卒業した直後、大学病院での勤務を希望して臨んだ面接で、憧れていた看護師の職に就くことができた。彼女は母親が看護師であり、幼少期からその職業に魅了されていた。悠子は人々の健康を支え、患者たちに笑顔を提供する使命感を胸に抱いていた。

大学病院は、最新の医療機器と高度な医療技術を駆使した施設であり、悠子にとっては夢のような職場だった。しかし、彼女が最初に衝撃を受けたのは、看護師としての現実としての労働状況だった。

夜勤が多く、常に患者の健康状態を監視し続けなければならない看護師の仕事は過酷で、休憩時間もほとんどない。悠子は初日から忙しさに圧倒され、仕事と家庭の両立がますます難しくなった。しかし、彼女は頑張り続け、同僚たちと協力し合いながら患者たちに最高のケアを提供しようと努力した。

時間が経つにつれ、悠子は看護師としてのスキルを向上させ、患者たちからの信頼を得るようになった。彼女は感謝の言葉や笑顔を受け取るたびに、自分の選んだ職業に誇りを感じた。しかし、その一方で、彼女は職場の厳しい労働条件に対する疑問を抱き始めていた。

長時間労働が続き、体調を崩すこともしばしばだった。さらに、上司からの圧力や過酷なシフト勤務により、精神的にも肉体的にも疲弊していった。悠子は同期の看護師たちと共に苦境に立たされ、ブラック企業としての評判が立つ職場で働くことの辛さを共有した。

ある日、悠子は同期たちと食事を共にする機会を得た。彼女たちは未来について話し合い、夢や目標について語り合った。その中で、悠子は自分自身が看護師としてのキャリアに疑問を抱いていることを告白した。友人たちは彼女を励まし、新たな可能性を探ることを支持した。

その夜、悠子は自宅に帰り、一人考え込んだ。彼女は看護師としての使命感と、自分の健康と幸福を守ることの難しさとの間で葛藤していた。そして、思い切った決断を下すことになるのだろうか?

次の日、悠子は仕事に向かう途中で、偶然にも街中の広告看板に目を留めた。その広告は未経験からのITエンジニア転職を募集しており、”2ヵ月の自社内研修から始められます”と大きく書かれていた。悠子はその文字に引かれるように立ち止まり、広告を熟読した。

“未経験大歓迎!ゼロからじっくり育てます!”、”人気のJavaをイチから学べる研修あり!”、”安心して働く土日祝休、年休125日、残業月10時間”、広告には魅力的な条件が満載だった。悠子はスマートフォンで応募用のQRコードを読み取り、面接の申し込みを行った。

面接当日、悠子は緊張しながらも、自分の看護師としての経験やコミュニケーション能力をアピールし、未経験からのITエンジニアとしてのキャリアチャンスに対する熱意を伝えた。結果、内定を勝ち取り、彼女は大きな決断を下すことになった。(続く)